(65)伊勢志摩サミット首脳の「神宮訪問」所感



いま世界に二百近くある国家のうち、いわゆる西側の主要な七ヶ国を〝G7〟と称する。その首脳が日本の伊勢志摩に集まって行ったサミット(頂上会談)が、ともあれ大過なく終了したことは喜ばしい。

そのニュースを垣間見ていると、付け足しの米国の現職大統領による広島訪問がクローズアップされた。確かにこれも大きな意義があろう。しかし、それ以上に深い意味があるのは、五月二十六日午前、G7の首脳が揃って伊勢の神宮を「訪問」という形で御垣内に入り正式参拝したことである。

しかも、全首脳が参拝後に内宮の神楽殿で記帳し、各々の所感を書いている。それは今のところ殆ど報道されていないが、神宮のホームページに全文の写真も和訳も掲載されている。とり急ぎその原文と訳文を左に抄出しておこう。

■アメリカ バラック・オバマ大統領
原文:
It is a great honor to visit this sacred place, which has brought comfort and peace to generations.
May the people of the world be inspired to live together in harmony and understanding.
仮訳:
幾世にもわたり、癒しと安寧をもたらしてきた神聖なこの地を訪れることができ、非常に光栄に思います。世界中の人々が平和に、理解しあって共生できるようお祈りいたします。

■フランス フランソワ・オランド大統領
原文:
Dans ce haut lieu de spiritualité, où le Japon prend sa source, s’exprimentles valeurs d’harmonie, de respect et de paix.
仮訳:
日本の源であり、調和、尊重、そして平和という価値観をもたらす、精神の崇高なる場所にて。

■ドイツ アンゲラ・メルケル首相
原文:
Im tiefen Respekt vor der engen Verbindung des japanischen Volkes mit seiner reichen Natur, die in diesem Schrein ihren Ausdruck findet.Mögen Deutschland und Japan Hand in Hand dazu beitragen, die natürlichen Lebensgrundlagen unseres Planeten zu sichern.
仮訳:
ここ伊勢神宮に象徴される日本国民の豊かな自然との密接な結びつきに深い敬意を表します。ドイツと日本が手を取り合い、地球上の自然の生存基盤の保全に貢献していくことを願います。

■イギリス デービッド・キャメロン首相
原文:
It is a great pleasure to visit this place of peace, tranquility and natural beauty as we gather in Ise Shima for Japan’s G7, and to pay my respects as Prime Minister of the United Kingdom at the Ise Jingu.
仮訳:
日本でのG7のために伊勢志摩に集うに際し、平和と静謐、美しい自然のこの地を訪れ、英国首相として伊勢神宮で敬意を払うことを大変嬉しく思います。

■イタリア マッテオ・レンツィ首相
原文:
Grazie per la straordinaria accoglienza in questo luogo carico di storia e di suggestione. Che sia di buon auspicio per il Giappone che ci ospita e per tutti noi per costruire con piu’ vigore le condizioni della crescita economica e della giustizia sociale, mantenendo viva la dignita’ dell’uomo.
仮訳:
このような歴史に満ち示唆に富む場所ですばらしい歓待をいただきましてありがとうございます。主催国である日本と我々全員が、人間の尊厳を保ちながら、経済成長及び社会正義のための諸条件をより力強く構築できることを祈念します。

■カナダ ジャスティン・トルドー首相
原文:
Que l’harmonie de Ise Jingu renforce notre engagement à bâtir un avenir empreint de paix et de prosperité.Let the harmony of Ise Jingu reflect our desire to build a prosperous and peaceful future.
仮訳:
伊勢神宮の調和に、繁栄と平和の未来を創るという我々の願いが映し出されますように。

■EU ドナルド・トゥスク欧州理事会議長
原文:
A place of peace and reflection. And a deep insight into Japan. Thank you!
仮訳:
静謐と思索の場。そして日本についての深い洞察。どうもありがとう!

■EU ジャン=クロード・ユンカー欧州委員会委員長
原文:
Je m’incline devant les traditions qui furent et les performances qui sont.
仮訳:
この地で目の当たりにした伝統と儀礼に敬意を表す。

これらは既に当日の夕方からアップされていたそうであるが、私は気付かなかった。翌二十七日午後、ある全国紙の若い社会部記者から電話があり、これに対するコメントを求められたので、手もとのガラホ(ガラ系スマホ)により通読して、簡単に管見を述べた。しかし、それは没にされたのみならず、前掲の記帳自体、まったく記事になっていない。

そこで、あらためて全首脳の所感をみると、ほとんどキリスト教徒であろうが、各国のトップリーダーとして日本の聖地イセジングーに集い、安倍首相の先導で宇治橋から正殿前まで歩き、御垣内に入って正式な参拝をされたことは、まさに画期的な意義があり、各々の感銘が率直に表現されていると感じられる。

日本の神道、とりわけ伊勢神宮や靖國神社は、戦後長らく著しい誤解を受けてきた。しかし今や、自然と恩人(皇祖も英霊も)に畏敬の念をもち感謝する真心は、日本人にも外国人にも見直されつつある。その象徴として、今回のサミット首脳の「神宮訪問」と所感は、かなり高く評価してよいであろう。

(HpかんせいPLAZA 五月三十日)

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