ご慶事を機に実現の可能な対策を



かんせいPLAZA主筆  所 功

 このたび高円宮家の三女絢子さまが、しっかりとした青年と婚約されたことには、心からお祝いを申しあげたい。平成十四年(二〇〇二)十月、園遊会でお目にかかったことのある亡き父宮さまも、さぞお慶びであろうと想われる。

一 現行「皇室典範」厳しい規則
 ただ、皇室の現状と将来を考えると、この機会に何らかの方策を工夫する必要がある。何となれば、明治の規則を受け継ぐ戦後の「皇室典範」第十二条により、「皇族女子」は、一般男性と結婚したら「皇族の身分を離れ」なければならない。しかも、その第九条により、皇族は「養子をするが(取ることも出すことも)できない」とされている。
 そのため、絢子さま(27)に続いて、長女の承子さま(32)も一般男性と婚約されたら、高円宮家は久子妃殿下(64)お一人となり、やがて絶家となってしまう。それは三笠宮家も同様である。また皇嗣から皇位を継がれる秋篠宮家の場合、より難しい状況にならざるをえない。

  二 元皇族女子の公的なお務めも必要
 そこで、当面なしうることと、近い将来なすべきことを分けて、管見を略述しよう。
 皇室では、天皇陛下が特別に重い多くのお務めを果たしておられる。それを皇后陛下が側で支えられ、皇太子殿下が引き継がれる。しかし、他の皇族たちも成年になれば、さまざまの役割を分担され、それらが全体として大きな意味をもっている。
 たとえば、高円宮家の場合、社交的でスポーツマンだった憲仁親王が、日本カナダ協会・日本アジア協会・日本エジプト協会や日本サッカー・フェンシング・軟式野球・アーチェリー・スカッシュ・セーリングの各協会・水難救済会などの名誉総裁を務めておられた。
 しかも、その多くを引き継がれた妃殿下は、新たに地域伝統芸能活用センター・いけばなインターナショナル・バードライフインターナショナル・日本スペイン協会・国際弓道連盟・高円宮記念日韓交流基金などの名誉総裁としても活躍しておられる。
 これらの一部は、三人の女王が成年後お手伝いしてこられた。けれども、それが結婚後は一般人の立場で不可能になる。そうであれば、結婚後も直近の元皇族として、出身宮家のお務めを公的にお手伝いしうるような措置をとることができないか、至急検討する必要があろう。
 その場合、数年前に政府の提示したような、元皇族を「公務員」とするのは宜しくない。あくまで皇室に生まれ育った特別な方であるから、「元皇族」の肩書で出身宮家の公務を手伝うに留め、そのお手当ては「皇族費」の予備費から出すことが相応しいと思われる。

  三 宮家の継承は皇族女子も可能に
 右の案は、現行法のもとでも運用の仕方によって実施できるかもしれない。しかし将来的には、皇族の総数が激減する傾向への対策として、皇室典範を部分改正するほかない。
 ただ、平成十八年(二〇〇六)に誕生された悠仁親王(11歳)が健在の近未来を見通せば、典範第一条の「皇位は男系の男子がこれを継承する」という原則は、次の次まで変更するに及ばない。取り組むべき課題は、未婚の皇族女子(16歳の愛子内親王以外、23歳~36歳)が、次々結婚されたら皇族でなくなり、もし結婚されなくても当家を相続することができない、という現行の在り方を修正することである。
 その場合、皇族女子が複数おられたら、お一方は当家を継ぐために皇族として残られ、他のお方は留まられても出られてもよいことにする。また、当家存続のために残られるお方と結婚する男性は、皇族男子のもとに入る女性と同じく皇族になり、その間に生まれる子女も皇族である(永世でなく五世まで位に限ってもよい)が、いずれも皇位を継承する資格は認めない。
 およそこのような前提を確認しながら、来年五月初めより建設的な修正論議が迅速に進められることを念願している。

(平成三十年七月二日稿)

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