徳富蘇峰翁の遺著[国民より観たる皇室]加注増補新版に寄せて
所 功<83>
明治天皇は、113年前<1912>の7月30日未明、満60歳手前で崩御された。皇居では、猛暑の中、電源の無い宮中三殿の皇霊殿において、黄櫨染の束帯を召された天皇陛下みずから厳粛な祭礼を行われたようである。
この明治天皇を心から尊敬して至高の規範と仰ぎ続けたのが、稀代のジャーナリストで抜群の歴史家としても名高い徳富蘇峰翁に他ならない。その信念見識は、敗戦GHQ占領下でも全く動揺しなかった。それを見事に示すのが、昭和21年3月、満83歳で一気に書き上げられた[国史より観たる皇室]である。
その遺著を読みやすく判りやすくするため、詳細な解説と簡潔な語注を加えると共に、講和独立の翌年<1953>6月、満90歳で有志青年に説かれた<日本の行くべき道>を附掲載して、本日付けで刊行した。皇室の重要性を再認識し、祖国の未来像を再構築するためにも、ぜひご高覧たまわりたい。
添付、藤原書店PR月報掲載のAB拙文 Epson_20250730190323