父の八十年祭に靖国参拝の感銘
所 功(81)
先週(七月二十七日)は、昭和十八年に、父(所久雄30歳)が、南洋(ソロモン群島ニュージョージア島)で戦死してから満八十年を迎えた。そこで、ケアを要する妻(京子)と共に、娘夫妻の車で上京し、靖国神社で昇殿参拝をさせて頂くことができた。
私は郷里の中学二年夏休み(昭和三十年八月)、岐阜県遺族会のお世話で遺児仲間たちと初めて正式参拝する機会に恵まれた。その際、小泉信三博士(67歳)東宮御教育常勤参与)の書かれた小冊子『遺児の皆さんへ』(全集16巻『国を思ふ心』所収)を頂き、繰り返し読んだ意義は大きい。
それ以降、いずれ父の戦没地を訪れたいと想い続け、昭和四十七年(一九七二)七月二六日現地に着いた。しかも、その近くに住むK氏の案内でジャングルへ分け入り、父が「所」と刻んだ飯盒にめぐりあい、翌朝(祥月命日)そこに父の遺骨と認められる塊を拾いあげることができた。
これは奇蹟というようり父の導きと想うほかない。あれから半世紀余り、様々な困難を乗り越えてこられたのも、父の冥々の加護によるものと信じている。その感謝の意味もこめて、靖国神社崇敬者総代を十数年務め、その間に小著『靖国の祈り遥かに』(神社新報社、平成十四年)を纏め、編著『公式ガイドブック ようこそ靖国神社へ』(新訂版、杜出版、平成二十八年)を手伝った。
しかし、令和に入る前年総代を退き、コロナ禍は参拝すら間遠になっていたが、今日は久しぶりに参上し、永代神楽申込の遺族数組と昇殿させて頂いた。丁重な神饌奉奠、優美な舞と楽の奉納後、担当神職が心をこめて読み上げられる同月日戦没英霊の氏名を拝聴しながら、感謝の誠を捧げ新たな決意を誓うことができた。
さらに、皇學館大学で奉職中に知り合って以来親交のつづく山口建史宮司(75歳)をはじめ、若い志の高い神職数名と懇談し、遊就館で寄贈した父の遺品(飯盒など)展示を案内して頂いた。今後も「靖国」(国を安らかにする)ため自分なりにできることを考え取り組んでいきたいと想う。
※ 添付資料 hanngounoisyo
※ 冒頭の写真は遊就館に展示されている父の遺品