「皇族数の確保」前進への論点整理



「皇族数の確保」前進への論点整理
(京都産業大学名誉教授) 所  功
雪中の衆議院選挙によって高市早苗首相のもとで自民・維新の与党が大勝した。これからは政府と国会で早急に取り組むべき課題が山積している。その一つが「皇族数の確保」対策にほかならない。
この問題は、様々の事情によって長びき、ようやく令和六年(二〇二四)早々から政府案が国会に諮問され、衆参両院で全党・会派の意見聴取を重ねてきたが、まだ合意形成に至っていない。そこで、この政府案に基づいて、必要な論点を整理しながら、可能な限り整合性のある見解の提示に努め、ご参考に供したい。
政府案の立場は、令和に入って上皇陛下皇長子徳仁親王が「天皇」位に即かれ、また皇次子の文仁親王が「皇嗣」として立たれ、そのもとに成年近い悠仁親王が居られることを重視する。従って、皇位は現行の皇室典範どおり、男系「男子」が二代先まで継承するとみなし、本命の「皇位継承」問題には立ち入らないことを前提としている。
それにも拘わらず、一方で皇位継承は「男系」を唯一の原理と信じて、「女系天皇」どころか「女性天皇」も絶対に認め難いとか、他方で皇族も一般国民と同じく「男女平等」とみなして、人気の高い「愛子天皇」を実現すべきだ、などと声高にいうのは、共に前提を軽視し誤認していることになろう。
その政府案の要点は、皇室の公的活動を分担することができる「皇族数の確保」に絞って、まず①皇族女子が結婚後も皇室に留まりうるようにすること、また②戦後皇籍を離れた旧宮家の男子孫が養子として皇室に入りうるようにすることである。
ただ、①では、皇族女子を当主とする新宮家を認めながら、その夫も子も皇族にしないことを条件としている。また②では、旧宮家の子孫が養子皇族になれるとしながら、皇位継承の資格は認めないことを条件としている。
しかし、この①の条件は、冷静に再検討する必要があろう。まず①で新宮家ができても、皇族身分の女性当主と一般国民の夫や子が生活を共にすることは難しい(その夫や子たちは皇族費を受給できず、皇族としての公務もできない)とみられるからである。
そうであれば、「皇族数の確保」という当面の目的に照らして、①案の条件を見直し、皇族女子と結婚する一般男子も皇族とする必要があろう。それは皇族男子と結婚する一般女子が后妃として皇族になるのと同じことである。念のため、その男子(入夫)は、一般の出身だから、皇位継承の資格を有しない。
従って、①案により皇族女子は結婚して新宮家の当主になっても、現行典範の定めている「男系男子」が健在な限り、皇位継承の資格を認めないと決めておけば、いわゆる女系天皇は生じない。現に②案の条件でも、養子となる皇族には継承の資格を認めないとしているから、皇族の中に資格の有る方と無い方を分けることは法的に問題ないであろう。
むしろ、皇室の現状を正視して最も必要とみられるのは、皇族として皇室に留まる女子のうち、内廷の愛子内親王が御両親の天皇・皇后両陛下を身近で支えられ、また皇嗣家の佳子内親王も御両親と弟君を助けられることである。ちなみに、三笠宮家では、孫世代の彬子女王が当主となり同家を担っておられる。

(令和八年二月十日記)

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