「皇族」の身分と役割を明確に



「皇族」の身分と役割を明確に
(京都産業大学名誉教授) 所  功
前回の論点整理を補うため、「皇族」とは何かについて説明を補足しよう。その論拠は、古代以来の史実と明治・戦後の憲法・皇室典範などに基づくが、ここでは一々引用せず平易に略述する。

A まず「皇族」というのは、一般国民と異なる別格の身分である。それは二種類あり、㋑皇室において生まれ育った方々、および㋺皇室から求められて入った方々である。このうち、現在㋺としては、皇族男子と結婚する一般女子が后妃となる場合に限られ、一般国民として生まれ育った男子が皇室に養子として入ることはできない。
ただ、先般から国会に諮問中の政府案②では、昭和二十二年(一九四七)十月に皇籍を離れるほかなった伏見宮系十一宮家のうち数家には、一般国民として生まれ育っても養子になれる男子孫がいるとみなし、㋺の皇族に加えられるよう例外的な法改正を意図している。それは将来の危機(皇族男子の払底)に備えて、必要かもしれないが、現在皇室の方で養子を求め受け容れられる御意向があるかどうか、内々に確認してから議論すべきことかと思われる。

B ついで「皇族」は、大別して二種類の重要な役割がある。その一つは㋩皇統に属する皇族として皇位を継承し天皇の大任を担い果たされることである。もう一つは㋥皇族として品位を持ちながら天皇を支え助けると共に公務を分担することである。このうち、現在㋩に関しては、「男系の男子」に限られ、結婚により皇室に入る后妃だけでなく、皇室において生まれ育った皇族女子も資格を認められていない。
つまり、皇族男子は㋩も㋥も可能である。それに対して女性皇族(后妃と未婚の内親王・女王)は㋩の対象外であり、ただ㋥の役割を果たすので皇室費を受給することができる。しかし、皇族数が極めて少ない現在、㋩を男系の男子に限ったままでよいのか。また政府案①により皇族女子が結婚して新宮家の当主になれても、その夫と子たちを一般国民のままとしてよいのか。真剣に考えて将来に備える必要がある。
この点は、前回も言及したとおり、当面は二代先まで男系の男子により継承可能とみなせば、少し先延ばしにして慎重に議論すればよい。それよりも急いで解決すべきは、皇族女子の夫と子たちも皇族として、皇室費の皇族費で生活し宮廷費で公務を分担しうるようにすることだと思われる。そうでなければ、皇族数の現状を維持できても、その増加に資することができないからである。

総じて言えば、およそ二千年余り続く皇統(皇室)が永続しやすいようにするためには、(一)まず政府案の①によって皇族女子の減少を防ぐとともに、その条件を考え直し、新宮家の夫も子たちも皇族にして、その増加をはかること。(二)ついで二代先に男子が得られないことも考慮し、政府案②によって旧宮家の男子孫から適任者をえられる可能性があれば、皇室の御意向に応じて養子となれる道を拓くこと。(三)さらに今上陛下の御代替わり(たとえば二十年余り後の高齢譲位)に備えて、典範と関係法の全体を本格的に改正すること。このように段階を分けて、超党派で誠実に取り組んでほしいと念願している。
(令和八年二月十二日)

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