皇室典範一部改正法の施行所感



皇室典範一部改正法の施行所感

京都産業大学名誉教授 所  功

戦後の皇室典範が八十年目に一部分改正された。これによって、今後も不都合な規定は本格的に再改正できる道を拓いたことに、法制史的な意義がある。
現行憲法の定める「象徴」天皇は、日本国家と国民統合のため積極的に任務を果たすことが求められ、その役割を昭和・平成から令和三代にわたる陛下が誠実に果されてきた。
その天皇を身近に支え助けられるのが、皇室で生まれ育った皇族である。今回の改正により、皇族女子が婚姻後も皇室に留まり、皇族の役割を担えるようになったことは、有意義だと考える。ただ、その夫を皇族にしないのは不自然であり、多々不都合を生ずる恐れがある。
また、皇族数を確保するため、いわゆる旧宮家の男系男子孫を養子として皇族になしうるとしたのは、窮余の一策とみられる。しかし、その養子皇族は、一般女性と結婚して男児を生まなければ無意味とみられるような運命を背負うことになろう。
従って、二代先までの皇位は、既定の男系男子により継承されるとしても、その先は明治天皇以来の血統を有する皇族であれば、男女問わず、長系長子優先で永続できるよう、典範本文の再改正に取り組むべきだと思われる。
当面は、新設の養子皇族を実現するため、一方で宮内庁は現存宮家の方々に養子受容の意向有無を確認し、他方で今回の改正を強力に主張した日本会議の関係者などが、宮家の該当者に意志有無を打診する責任があろう。
なお、それに続いて行われる再改正に備えて、現行典範の本格的な改正案を別稿(来年一月発行予定『産大法学』六十巻四号に掲載)に提示した。ネット公開もされるので、ぜひご高覧ご批正を頂きたい。(令和八年十月二十日)

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA


日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)