せめて内廷の皇女は、皇族として公務の継続を可能に



今春から首相官邸で開催されてきた「皇室典範特例法付帯決議に関する有識者会議」は、十回ほど議論を尽くし、これから纏めに入るという。先般その「学識者ヒアリング」で公述した管見の一端を、ここに要約しておこう。

現在の皇室制度は、日本国憲法の第一章に定める「象徴世襲天皇」の維持に必要なものでなければならない。しかし、敗戦後に急いで作られた皇室典範には無理な規定があり、すでに現役皇族の激減をもたらし、もし放置すれば衰亡の危機を避け難い。

皇室の構成者は、象徴天皇の役割を皇族として補佐する立場にあり、成人すれば男女の別なく公務を分担することになっている。しかし典範第十二条により、皇族女子は一般男性と婚姻すれば、皇籍を離れなければならない。そのため、現在の三内親王・三女王も結婚されると、皇族として役割を果たすことができなくなる。

そこで一部には、これから皇室を出る元内親王・元女王をすべて「皇女」と称し、公務の分担を依頼するような案が出ている。しかし、元の皇族といえども、身分的には自由な国民だから、特別な皇族としての任務を(時に夫を伴って)続けるようなことは困難であり、不適切と言わざるをえない。

では、どうすればよいのか。本来ならば、千数百年の歴史に照らして、男系女子の即位(八方十代の例あり)も、皇女の宮家相続(桂宮第十二代淑子内親王の例あり)も可能にするような改正が望ましい。しかし現在、皇位継承は男系男子が二代先までおくられるのだから、当面それを維持する前提に立つべきであろう。

それゆえ、宮家の二内親王・二女王が、早晩皇室を去られることはやむをえないとしても、せめて内廷(天皇・皇后と同一ご家族)の敬宮愛子内親王(まもなく十二月一日満二十歳)は、一般男性と結婚されても末永く皇室に留まれるような法的措置を考えてほしい。それは皇位を継承するためでなく、ご両親の現両陛下を最も身近かで支え続けられ、やがて叔父と従弟のもとでも皇族としての役割を続けられる(万一の場合「摂政」も引き受けられる)ようにしておくためである。

      (令和三年九月一日  所  功)

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