東京オリンピック開会式の参加国名表記と入場順



東京オリンピック開会式の参加国名表記と入場順

所    功

昨年予定の東京五輪大会は、想定外のコロナ禍に人災も重なったが、何とか開催され、幾多の感動を生み出して閉会した。ここに至る関係者と選手達の辛苦と努力には、あらためて感謝を申し上げたい。

ただ、七月二十三日の開会式をテレビ中継で視聴しながら、五十七年前(昭和三十九年)の東京五輪と較べて、違和感を覚えたことが少なくない。

その一つは、実施日時が開催国の日本で最適と考えて決められた前回(十月十日昼間)と違い、米国テレビの放映に都合のよい真夏の夜分に行われたことである。

また開会式における入場行進も、前回は整然と時間どおりに運ばれ、各選手団が名誉総裁の昭和天皇に敬意を表した。しかし今回は、多くの選手がテレビに向かって燥ぎ、なぜか総理も都知事も天皇陛下が開会宣言をされる途中から起ち上がったのは、不敬の誹りを免れ難い。

もう一つは、参加選手の国・地域の名称を、日本国内でしか通用しない表現に決め、しかもそれに基づいて、入場の順番を「日本独自」の五十音(あいうえお)順(前回と札幌・長野までアルファベット順)としたことである。

いうまでもなく、国名はその国の歴史や政体などに基づく重要な固有の名称である。従って、なるべく当事国の公用語か国際的な英語の表記を尊重すべきであろう。わが国の場合、飛鳥時代(七世紀)以来の「日本」が現行憲法にも表示されているから、Nipponが最もふさわしく、戦前の五輪大会ではそれが用いられてきた。ただZipinguゆかりのJapanも国際的に通用しているので、前回からこれが用いられたのはやむを得ない。

しかし今回、例えば①Great Britten(United Kingdom of G.B.)を「英国」とするとともに、その属領も②「英領バージン諸島」とする一方、③United States of America(U.S.A.)を「アメリカ合衆国」としながら、その属領は、④「米領サモア」⑤「米領バージン諸島」としており、不統一の感を否めない。

しかも、それらを五十音順に並べることは、一見日本文化の尊重と思われよう。ところが、北京でもソウルでも発音を中国語・韓国語で表記しながら、順番はアルファベット順にした。その方が今や日本人にも外国人にも判り易いであろう。

国際化の急速に進む現在、何を固有の伝統として守り、何を共通の基準として使うか、よく考えて直してみたい。(令和三年八月九日)

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