皇室永続の可能性を拡大する具体案



皇室永続の可能性を拡大する具体案
かんせいPLAZA主筆  所   功

日本の皇室は、本家にあたる内廷と分家にあたる宮家から成る。この内廷も宮家も、天皇陛下のもとに皇族が居られてこそ、国家・国民のために役割を果たされ得る。その皇室を構成する皇族が次第に減少し、やがて衰滅する恐れすら少なくない、という危機的な状況をしっかり認識して、的確な対策を真剣に構ずる必要がある。

「高齢譲位」実現に伴う「皇嗣」問題
昨年八月の「お言葉」に大多数の一般国民が共感して動き始めた今上陛下の「高齢譲位」は、今年六月の国会で「特例法」が成立すれば、約二百年ぶりに実現可能となる。
これが出来れば、「日本国の象徴」としての国事行為も、また「国民統合の象徴」としての公的行為も、さらに「伝統の継承者」としての祭祀行為も、超高齢の天皇陛下から次世代の皇太子殿下へと、順調に承け継がれていく道が開かれることになろう。
しかし、特例法で懸念されるのは、現行の典範本文を全く直さないため、次の皇位継承順位第一の秋篠宮殿下が、「皇太弟」にも「内定皇族」にもならないで、「皇嗣」と称する「宮家皇族」のまま、例外的に「皇太子待遇」を受けるに留められる不可思議さである。
その矢先、御長女眞子内親王(25)の御婚約内定の報が流れた。このままで数年推移すれば、御次女の佳子内親王(20)も一般男性と結婚され、やがて秋篠宮殿下が皇位継承される段階で、御長男の悠仁親王(10)が皇太子となられたら、秋篠宮家は消滅するほかない。

皇族女子の宮家の継承・創立を可能に
そこで、早急に検討すべきは、典範の第十一条を改正し、皇族女子が一般男子と結婚されても皇族身分に留まれるようにすることである。この場合、現在三代先までは「男系の男子」が皇位継承可能な状況にあるのだから、少なくとも約三十年間、この原則(一条・二条)は変更しない、という前提に立って議論を先へ進めなければならない。
その上で、皇族女子は内親王に限るか、女王も含めて長女に限るか、すべての内親王・女王を含めるか、という対象範囲を検討する。また、結婚する夫とその間の子は皇族にしないのか、夫も子も孫以下も皇族とするのか、その皇族女子を当主とする宮家の子孫には皇位継承の資格を認めないか、それとも認めるのか、という身分・資格を検討する。それらを一々具体的に吟味しながら、より妥当性の高い現実的な案で第十一条の改正に踏み切る必要がある。
敢えて管見を申せば、内親王も女王も御一方は当家を継承することができ、また他の御方は別の宮家を創立することも皇室を離脱することもできる、と決めておくことが望ましいと思われる。

現皇室に近い旧宮家子孫の養子も可能に
ただ、皇位継承と同じく宮家継承も男子に限るべきだ、という男系男子論の声が高い現在、第十一条を改正しても、皇族女子を当主とする宮家に入る勇気のある一般男性は、容易にえられないかもしれない。
そうであれば、旧宮家で現存する六宮家のうち、現皇室に血縁の近い東久邇宮家(現当主の生母は昭和天皇の皇女成子内親王)などの子孫が「養子」として皇室に入りうるよう、典範の第九条(皇族養子の禁止規定)を改正することも、併せて検討する必要があろう。
とはいえ、一般国民として生まれ育った方が、いきなり皇族となることは難しく、多くの人々に信賴も尊敬も得られないであろう。そこで、そういう由緒ある家の適任と認められる方は、天皇直属の内廷職員に任用され、准皇族的な公務奉仕の経験を積みながら、その子弟を皇族となるにふさわしく育てるならば、やがて皇室から養子に求められる可能性も高まるのではないかと思われる。

可能性の拡大実現こそ緊急の課題
ともあれ、現状を放置すれば、皇室を構成する方々が、次々と居られなくなってしまう。おそらく二十年後、悠仁親王が三十歳代で結婚しようとされても、お相手の女性は必ず男子を生まなければ、男系の皇統が途絶えてしまう、という苛酷な重圧を背負うことにならざるをえない。
それゆえ、皇室永続のためには、何よりも皇族として生まれ育たれた方々が、男女を問わず皇室に留まり皇族としての役割を果たし続けられるようにすること。ただ、皇族女子を当主とする宮家の継承も創立も容易でないとすれば、現皇室に血縁の近い旧宮家の子孫で皇族となるにふさわしく養育された方が、皇室に養子として迎えられるようにすること。少なくともこの両案が早急に検討され実現することを念じてやまない。
(平成二十九年五月二十七日記)

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