最近(五月二十七日)宮内庁から、高円宮(たかまどのみや)家の次女典子(のりこ)女王殿下(25歳)のご婚約内定が公表され、お相手の出雲大社祢宜千家国麿(せんげくにまろ)さん(40歳)とお揃いで記者会見も行われた。まことにこの上ない良縁で、心からお喜びを申し上げたい。
ご婚約会見の重要なご発言
この記者会見を視ながら、驚いたこと、考えさせられたことが少なくない。まず千家国麿さんは、一方で「大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)さまのお導きのもと、このような素晴らしい方とご縁をいただきました」と述べられ、他方で「私どもの家の初代が、皇祖天照大神の次男と伝えられております。
その二千年を超える時を経、それに対して出雲氏は、当地に大己貴神=大国主神のために立派な社殿を建てること、また当地の国造(くにのみやつこ)に代々任命されることを求めて降伏した。それ以降、国造=宮司の代替りごとに上京して朝廷への忠誠を誓ってきたのである。
皇族女子の宮家継承も必要
次に典子さまは、宮家で生まれ育てば「成年皇族としてのお務めを優先」すべきだという自覚のもと、それを実践するために結婚を先延ばされ、今やっと婚約に踏み切られたという。同様に、三笠宮家の彬子(あきこ)女王(32歳) も高円宮家の承子(つぐこ)女王(27歳)も、また秋篠宮家の眞子まこ内親王(22歳)も、各宮家の若い長女として公務に努められつつある。
しかし、やがて自ら結婚され、妹の絢子(あやこ)女王(25歳)も瑶子(ようこ)女王(30歳)も佳子内親王(19歳)も次々結婚されると、三宮家は絶家にならざるをえない。
ここに思いを致せば、現行の皇室典範第十二条を改めて、少なくとも当宮家を継ぐために皇族女子の御一人は、結婚後も皇族として皇室に留まられ、公務を続けられるようにする必要があろう。
連載:「日本のソフトパワー」(隔月刊『装道』掲載) / 所 功