新年のご挨拶と決意
〈かんせいPLAZA主筆〉 所 功
あけましておめどとうございます
令和四年(二〇二二)の小田原は、快晴に恵まれて明けました。早朝の五時半、宮中では今上陛下(61歳)が神嘉殿の南庭において「四方拝」(続いて三殿で「歳旦祭」)を斎行されましたが、同時刻に宮内庁Hpで「天皇陛下のおことば」(新年ビデオメッセージ)を映像と文字で拝聴・拝読することができました。
そのなかに「皆が互いに思いやりをもって、助け合い励まし合いながら、進んで行くことを心から願っています。」と仰せられています。まさにコロナ禍のパンデミックが続くなかで必要なことは、国内・海外を問わず皆で助け合い励まし合って生きぬくことであり、それを傘寿の私も心掛けて微力を尽くしたいと思います。
そこで、現在の日本を理解するために、戦後の歴史を振り返ってみますと、今年四月には、昭和二十七年(一九五二)、数年間の厳しい被占領下を乗り越え、「講和独立」を遂げてから七十年になります。しかし、その際に結んだ「日米安全保障条約」により、国内とりわけ沖縄に米軍の軍事基地が数多く残されました。それから二十年後の同四十七年(一九七二)五月、沖縄の本土復帰が実現しましたけれども、さらに五十年経った現在も、基地問題を全国各地の協力により解決することができていません。
つまり、わが国は未だ完全な独立をするに至っていないのです。もちろん、複雑な利害の絡む国際社会では、価値觀を共有できる勢力圏と同盟を結ぶ必要もありますが、それでも有力国に従属しない独立の気概と主張を持たねばなりません。まして価値觀を相容れない勢力圏には、毅然とした対応を貫徹する必要があり、それには多くの国民が一致して支援しなければできません。
七十年前の講話独立にも五十年前の沖縄復帰にも、同じ日本人の間で、政治的・思想的な抗争が激しく繰り返されました。そのような対立は、平成に入り東西冷戦の急変によって解消されたかにみえますが、むしろ経済的・利己的な論争により、国論の分裂は深刻になっているかとみられます。
このような時、私共には何ができるのでしょうか。それは単に国防力を強化すればすむことでありません。より重要なことは、多くの国民が、世界の中で日本が独立国家として信頼され尊敬されるような国柄(互いに助け合い励まし合うような日本社会の在り方)を再構築するために、各々の立場と力量に応じて為しうることを工夫し、根気強く実践することだと思われます。
年頭にあたり、管見の一端を述べました。本年も宜しくお願い申し上げます。
〈令和四年(二〇二二)元日夜十時記〉