天皇主催・成年皇族参列「園遊会」の在り方
(京都産業大学名誉教授)所 功
上皇・上皇后両陛下の卒寿を祝う音楽会
七月末現在、皇室の方々がそれぞれお健やかであられることは、まことにありがたい。とりわけ七月十日、皇居東御苑の桃華楽堂において催された上皇・上皇后両陛下の卒寿(九十歳)をお祝いするコンサートのハイライトをテレビ・新聞などにより拝見して、ほのぼのと温かな安らぎを覚えた人が多いのではなかろうか。
その貴賓席を見ると、前列の中央に向かって左から上皇后・上皇両陛下、天皇・皇后両陛下が並ばれ、後列に元皇女の黒田清子様と夫の慶樹様、皇嗣の秋篠宮・同妃両殿下、皇女の愛子内親王と従姉の佳子内親王が並んでおられる。
これは基本的に既婚者のお二人を一対とし、若い未婚者を一緒にして、寛(くつろ)ぎやすく工夫されたのであろう。それが自然であり、微笑ましい印象を醸し出すことになったのだと想われる。
皇室行事参列者は成年皇族が原則
このような皇室の儀式行事に参列できるのは、明治以降「成年」皇族が原則とされてきた。その年齢は、旧典範の第十三・十四条を承けて、現行の新典範でも第二十二条に「天皇、皇太子及び皇太孫の成年は、十八年とする」と定められており、他の皇族は従来どおり二十歳と解されている。
そのため、今上陛下は昭和五十五年(一九八〇)二月二十三日、また秋篠宮殿下は昭和五十九年十一月三十日、まだ皇太子でも皇嗣でもなかったから、他の皇族と同様、満二十歳で成年となられた後より皇室行事に参列されている。
この原則に従って、皇女の愛子内親王は、令和三年(二〇二一)十二月一日、満二十歳で成年を迎え、五日に皇居・宮殿で「宝冠大綬章」を親授される成年行事に臨まれた。ただ、学習院大学在学中のため、公式行事への参列を控え、同五年二月、「天皇記念日」の一般参賀に出られたのが初舞台となっている。
その一般参賀では、午前中に三回、天皇陛下(64)を中心として、向かって右側に皇后陛下と愛子内親王、左側に秋篠宮・同妃両殿下と佳子内親王が立たれた。これも、いわばファミリーの纏まりを重視されたものといえよう。
天皇主催の園遊会もファミリー単位可能か
皇室行事のうち、毎年正月二日と「天皇誕生日」の一般参賀と共に注目されるのが、春と秋の「園遊会」である。宮内庁のHPによれば、天皇皇后両陛下は・・・各界功労者とそれぞれの配偶者約二〇〇〇人をお招きになって・・・皇嗣同妃両殿下はじめ皇族方が出席される・・・」と説明されている。
その園遊会に、今年九月六日で満十八歳となられる高校三年の悠仁親王も、令和四年四月から施行され改正民法を準用し、秋の園遊会に成年皇族として参列なさるといわれている。
それは、もし大学受験準備に支障がなければ、実現されるほうが望ましいと思われる。ただ、その場合、赤坂御苑の高台にどのような形で立たれるのか、すでに週刊誌などの話題となっている。しかし、それを悠仁親王が先か愛子内親王が先か、というような議論にしてはならない。現在の内廷皇女も次代の皇嗣長男も、比較できない重要な役割を持つ特別な存在だ、という認識を共有する必要があろう。
そこで、あえて一試案を申せば、園遊会でも、内廷と皇嗣家ごとに纏って並ばれ、それぞれに仲の良い姿を示されることが望ましいのではないか。お招きを受けた参会者へのお声かけも、各ファミリーごとに手分けして行われたらよいのではなかろうか。 (令和六年七月三十一日 記)
なお、関連してAERA.com掲載の記事に、所功のコメントが掲載されております。
悠仁さま 秋の園遊会「ご出席」ならば、愛子さまの「前」か「後ろ」かの悩ましい立ち位置 | AERA dot. (アエラドット) (asahi.com)