良識的な「皇族女子宮家」の実現を切望する



良識的な「皇族女子宮家」の実現を切望する
(京都産業大学名誉教授) 所  功
今日は昭和三十四年(一九五九)の四月十日、皇太子(26歳)・同妃(25歳)両殿下が成婚された記念日です。
あの晴れやかな祝賀パレードが行われてから三十年後(一九八九)の正月七日、父君(87歳8ヶ月余)の崩御により即位された平成の天皇陛下は、皇后美智子さまの協力を得て、伝統を重んじつつ改革を重ね、新しい皇室像を形作られた。それから三十年後(二〇一九)の四月三十日、高齢(85歳)を理由として皇太子殿下(57歳)に譲位された。
この平成年代(三十=卅は一世でもある)は、いわゆる象徴天皇への理解と共感が高まり、それが令和の現代に受け継がれて、当面安泰かと思われる。しかしながら、その間に皇室でも少子化・高齢化が進み、今や危機的な状況にあるといわざるをえない。
そこで、平成十六年(二〇〇四)から政府が内閣官房に「皇室典範改正準備室」を設け、翌年「有識者会議」を開いて報告を纏めた。それは、皇位継承者を「皇統に属する男系の男子」に限定する現行典範を改めて、(イ)皇室に生まれ育った皇族ならば、男女を問わず長系の長子を優先する。また、(ロ)皇族女子は一般男子と結婚しても宮家の当主として公的な活動ができるようにする、という画期的な改正案である。
ところが、政界でも論壇でも(イ)(ロ)に烈しく反対する声が強くなり、いまだに何も変わっていない。ただ、終身在位を前提とする典範に「特例」として、天皇の「高齢譲位」を可能にする法案を成立させる際(平成二十九年)の「付帯決議」で、(イ)よりも急を要する(ロ)の検討を政府に求め、それに応じて政府が「皇族数の確保」案を作り国会に諮った。
その第一案は、皇族女子が結婚により宮家を立て当主となれるようにするとしながら、夫が一般男性なら皇族とせず子たちも皇族にしない、という中途半端な代物である。
何となれば、その新宮家では、当主のみ皇族として皇族費を受給し皇室の公務を分担しうるが、夫も子たちも「一般国民の権利」を維持したままという案だから、皇族費は支給されず、皇族としての公務もできない。それでは、身分の異なる妻と父子が同居しながら生計と活動は別扱い、という不自然で不適切な状況とならざるをえないのである。
政府がこのような案を作ったのは、いわゆる男系男子を絶対視する勢力に配慮したのか、皇族女子の宮家は当代限りで終わらせると、その子孫が皇族とならないので、それならば女性天皇も女系天皇も生まれえない、と考えたからであろう。しかし、それは誤解による杞憂であり、ぜひ考え直してほしい。
そもそも今回の政府案は、皇位継承が現行典範どおり「男系の男子」によって二代先まで可能な現状を前提にして、それと別に減少の続く皇族数を確保するための具体策である。従って、皇族男子が結婚される時、一般女性は(その間の子たちも)皇族となれるように、皇族女子が結婚される時、一般男性は(その間の子たちも)皇族とするのが当然であり、そうしなければ皇族数の減少は止められない。その子たちは皇族の身分にあっても、当面(二代先まで)皇位継承の資格を有しないと定めておけばよく、むしろ男女とも皇族として公務の分担ができるようにすることこそ必要であろう。                   (令和八年四月十日)

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