宮中雅楽の演奏会に感銘



宮中雅楽の演奏会に感銘      (画像は宮内庁Hpより)

京都産業大学名誉教授 所  功

 

皇居の東御苑には、宮内庁式部職の「楽部」がある。ここに勤める楽師三十数名は、数百年前から雅楽を家職にしてきた楽人(多氏・芝氏・東儀氏など)の子孫が多い。

近年、その楽部の舞台で春と秋に雅楽の演奏会が催されている。百名ほど公募入選者と招待者が参加でき、本日(十月十八日)初めて参観させて頂いた。

今回の曲目は、前半で「御神楽」のうち、「小前張」(神遊び)の㋑「阿(あ)知(じ)女(め)作(さ)法(ほう)」と㋺「薦(こも)枕(まくら)」と㋩「其(その)駒(こま)」、後半で「舞楽」のうち、㋥左方舞(中国系)の「打球楽」と㋭右方舞 (朝鮮系)の「狛桙(こまさお)」である。

音吐く朗々と繰り返される歌の題をみると、神楽歌の㋑「阿知女」は「うずめ」(記紀神話にみえる天鈿(うず)女(めの)命(みこと))の変化したもの。㋺「薦枕」は真菰(長い草)を束ねて作る即席の枕、㋩「其駒」は神が乗って去り行く駒。また舞楽の㋥「打球楽」は唐装束で騎馬して毬(まり)を杖で打つ勝負を競う打球。㋭「狛桙」は高麗から来た人を迎える船人が五色に彩った棹で船を操る姿を表すものと解されている。

演奏者は、神楽歌が本拍子・笛・篳篥・和琴・人長の各一名と附歌九名、また舞楽の舞人が打球楽と狛桙が各四名、管方の笙・篳篥・笛が各四名、鞨(かっ)鼓(こ)兼三鼓・釣太鼓・鉦鼓が各一名である。その舞台において、ゆったりと奏でる楽と、雄々しく雅に演じる舞により、穏かに神々を和ませ、大らかに人々を楽しませるように、おのずから感じられた。

 

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