「皇室典範」の緊急改定から本格改正への道



「皇室典範」の緊急改定から本格改正への道
京都産業大学名誉教授 所  功

今国会において「皇室典範の一部を改正する法律」が成立した。この法律のもつ問題点を指摘し、今後それをどのように改正すべきか、当面の管見を略述したい。
今回の典範改正(?)は、明治典範以来の〝皇位継承男系男子限定原理主義〟が、現在のような皇族数減少の根本原因だという事実を直視せず、それを今後も持続するための弥縫策(その場しのぎの取り繕い)を固定したことになる。
その具体策が、いわゆる旧宮家の男系男子孫を「養子」として皇族化するのみならず、その次代の男子に皇位継承資格を自動的に認めてしまう、驚くべき制度である。
しかし、その旧宮家というのは、昭和二十二年(一九四七)十月当時、十一家あった(すべて伏見宮系)のうち、八十年近く経った現在、男系男子孫がいるのは、四家(半分以下)しかない。その四家(久邇家・東久邇家・賀陽家・竹田家)には、今回の養子案で要件とされた十五歳以上の未婚男子が数名いるといわれているが、すべて一般国民として生まれ育ち、国民としての自由と権利とを保証されている。
ところが、今回の新規定では、このような方が本人の意思か周囲の説得により養子として皇族になると、自由な言動を為しえない。それのみならず、いったん養子皇族になった未婚男性は、皇太子・皇太孫と同様、本人の意思により皇籍を離れること(養子解消)ができない。それは一般女性と結婚して産まれる男子皇族が皇位継承をしうるようにするためである。つまり養子皇族夫妻は、男児を儲けなければ無意味な存在とみなされかねない過酷な運命を担わされることになる。
従って、このような養子皇族案を実現することは容易でないと思われるが、制度化した責任上、政府の要請により宮内庁を仲介役として、条件に叶う当人・当家と、その養子を必要とする養親=現在の内廷と皇嗣家を除く四宮家(常陸宮家・三笠宮家・寛仁親王妃家・高円宮家)との縁組が進められることになろう。もしそれが成り立ち、その養子皇族が結婚して男児に恵まれると、仮に三十年後、悠仁親王・同妃の子に男児が得られなければ、そこで現皇室(本流)が断絶して、その養子皇族(傍流)に皇位が移行してしまうこともありうると予想して、是非を判断する必要があろう(添付資料参照)。
一方、今回の改正で、皇族女子(皇室で生まれ育たれた内親王・女王)が、一般男子との婚姻後も皇族として皇室に留まられうることになったのは、唯一評価してよい。もちろん、その夫も子も皇族にしない(一般国民のまま)というのでは、皇族女子を当主とする宮家にならない。これは早晩見直し、本格的に改正しなければならない。
とはいえ、この限りでも、ご本人のご意思により愛子内親王(24歳)はご成婚後も、皇族として独立の生計を営み、ご両親の天皇陛下(66歳)と皇后陛下(62歳)を支え続け、また佳子内親王(31歳)もご両親の皇嗣殿下(60歳)と同妃殿下(59歳)および弟君の悠仁親王(九月で20歳)を助けながら、各々に皇族としての公務を分担できる。それが二十年も三十年も続けば、令和の皇室は現状のような在り方を維持される可能性があり、その間に良識的な一般国民の声が盛り上がれば、夫も子も皇族とする法改正が行われるようになる見込みがあると思われる。             (令和八年七月十七日記)

資料 令和の皇室

30年後の皇室

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA


日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)